ICP登録の手続きの実例 – データセンタは北京、ユーザは上海の場合 –

ICP登録の手続きについて、具体的に申請経路はどのようになっているのか、またどの通信管理局に申請しているのかという点についてご質問が多いため、その申請の内容について整理しています。

まず、現状ではICP登録の手続きは、全てISPを通して行う仕組みになっています。ICP登録を行う = IDCを利用している、またはホスティングサービスやクラウドサービスを利用していることから、必ずいずれかのISPと接続しているはずです(自社に専用線を引き込んでWebサーバを公開しているというケースも考えられるかもしれませんが、中国では日本ほど専用線サービスのコストが安くないため稀です。またその場合でも接続先のISPが対応します)。直接ISPと契約していなくても、データセンタまたはホスティング会社を通じて申請を行います。

ICP登録の申請経路

ICP登録の申請経路

1. ISPへの申請手続き

ここでは、例として「上海の法人が、北京のデータセンタを使った場合」を挙げました。この場合、図の通り、まず企業は契約しているISP(またはデータセンタ・ホスティング会社)に、必要情報を添えて申請作業を依頼します。初めて申請する場合には、担当者の写真撮影を行う必要があります。中国のデータセンタ会社では、受付の脇に写真ブースがあり、そこで写真を行うことができるようになっていることを見ることが出来ます。

2. ISPによる申請作業

次に、このISPは、「申請する法人の本社がある省・または特別市」の通信管理局に申請を行います(現在は電子的に申請が行われいます)。つまり、ISPやデータセンタの所在地の通信管理局に申請を行うのではなく、あくまで法人の登記住所にある通信管理局が申請先になります。この際、ISPは顧客が利用するサーバのIPアドレスの情報なども提出します(実態として、CDNやGSLBを使ってWebサーバの実態がマルチロケー ションとなっている場合やDNSラウンドロビンでWebサーバのIPアドレスが多数になるような場合についてどうなのかというと、ICP登録の手続き上は 考慮されていません。通常は、originサーバのVIPアドレスなどを用いています)。

3. 審査・番号発行

審査の結果、特に問題が無ければICP登録の番号が発行されるほか、今後の申請内容の変更のために必要となるパスワードが発行され、手続きは完了です。発行される番号は、上海市の企業の場合には「沪ICP备0XXXXXXX号」、北京市の企業の場合には「京ICP备0XXXXXXX号」といった形式になります。発行されたパスワードはなくさないように厳重に管理をしておくことをおすすめします。特に、担当者の退職等によって情報が引き継がれていないケースが見られます。再発行することも可能ですが、手続きに時間を要することになることから、今後サーバを移設する際にICP登録の届出内容の変更を行うにあたり慌ててしまうことになりかねません。

中国移動が4Gの体験ユーザを募集開始

中国移動が4G体験ユーザの募集を開始

中国移動が4G体験ユーザの募集を開始

中国移動の4G体験ユーザ募集

中国移動が、4Gの体験ユーザの募集をWebサイトを通じて開始しました。一定の条件をクリアしていれば応募可能としており、北京など主要都市でまずは限定的に開始する模様です。具体的にいつから実際に利用が開始できるかについての情報はありませんが、既に準備が整いつつある状況であると推測されます。

募集内容の詳細

提示されている条件は「入网一年以上,近三个月月均消费大于50元,且无欠费记录的移动客户。近三个月月均上网流量大于50M的移动客户。」で、中国移動との契約が1年以上、直近3ヶ月の料金が平均50元以上、未払いの記録が無いこと、直近3ヶ月のデータ流量が50MBを超えていることとしています(ある程度の利用が見込まれるユーザに体験させようというねらいが読み取れます)。

具体的な端末の型番は出ていませんが、写真だけを見るとUSBタイプのデータ通信カード、WiFiルータ、CPE(家庭用端末)の3つが用意されているようです。ただ、写真に出ているWiFiルータがNovatel WirelessのWiFiルータのようですが、この写真のデザインの端末でTD-LTEに対応している機種が見当たらないため、実際に配布される機種は異なる可能性もあると考えられます。

500元の保証金を納めることで毎月15GBまでのデータ通信が6ヶ月の間は無料となることから、ある程度のユーザの確保は見込まれるのではないかと見られます。

中国におけるLTEの技術的な状況(まとめ)

中国におけるLTEの最新状況

  • 国務院は2013年中に4Gのライセンスを交付する方針を決めたとの内容が報道される(人民日報, 7月)
  • 中国電信が7/18に南京で4G試験ネットワークを開通。既に上海、南京などではフィールドテストを開始。ただし、FDD-LTEでのライセンス発給がなされない場合、TD-LTEでのネットワーク構築も考えるとの発言。
  • 中国移動はTD-LTEの第二期ネットワーク構築の入札を開始(20万基のアンテナ・100以上の都市をカバーする計画)
  • 中国聯通はFDD-LTEでのネットワークを計画しているが、TD-LTEでのテストも開始していると伝えられている。同社の3GはWCDMAのため、FDD-LTEの採用の方が投資負担は小さい。
  • 中国移動向けの端末は既に各社が発表済み。(HTC TD 101、ZTE U9810、Huawei Ascend D2-TL、LG Optimus Vu 2 Plus、Sony Xperia SP M35t, Cooldpad 8920など。

各社が計画する通信規格

中国における通信各社のLTEの状況

中国における通信各社のLTEの状況

中国移動によるTD-LTEのテストの状況

  • 1500元の保証金でHuawei製のUSBドングルタイプの通信機器が配布(2G/3Gの契約があるユーザ向け)
  • 4GBまで80元、8GBまで120元、15GBまで200元の課金モデル

現時点での見解

  • 中国政府は、TD-LTEのライセンスを各社に交付した上で、FDD-LTEのライセンスについても一部もしくは全社に同時または後追いで交付し、端末側でTD-LTEとFDD-LTEの両方に対応することで、キャリア各社の思惑を満たすという方法も考えられる。
  • 実際に、Xperia SP M35tやCoolpad 8920などの端末ではTD-LTEとFDD-LTEの両方に対応したSoCを搭載している。

他人のICP登録の番号を掲示していないかどうか

最近、偶然に時期が重なり2件同様のケースがあったため、中国のWebサイトのICP登録の番号が正しいものかどうかの確認を促す内容について触れることにします。

ICP登録は、改めてご説明するまでもなく、中国においてWebサイトを公開するにあたり、事前にIDC経由で通信管理局に登録申請を行う中国のWeb管理の仕組みです。ICP登録が行われておらず、正しく番号が発行されていない状態でWebサイトを公開することは認められていません。

ところが、通信管理局から発行されたICP登録の番号とは異なる番号を掲示してしまっているケースがあるようです。こうなってしまう可能性としては、

  1. Web制作会社や担当者が公開時点でとりあえずICP登録の番号を載せておかなければならないと考え、正しそうな番号でWebに記載したまま、その修正が忘れられていた。特にICP登録の管理・確認が厳密には行われていない時期(2009年以前ではまだ厳密な確認は行われていないケースもありました)にWebサイトを公開していた場合にはそのようなケースが見られます。
  2. Webサイトを管理する会社が途中で変更になり、本来であれば新たなWebサイトの管理会社の番号にしなければならないのに、その修正が忘れられていた。

などが考えられます。

ICP登録が無いままWebサイトを公開していると、通信管理局から警告がIDC経由で入り、適切にICP登録の番号を掲示するか、ICP登録の手続きが終わるまではWebサイトを閉鎖するように命令されることがあります。以前は手作業で確認していた時期もあったように思いますが、近年では明らかに自動的に調査をしているだろうと考えられるケースも見られるようになりました(調査方法の実態について確認する術はありませんが、外部からリンクされていないサイトにまで調査が及ぶケースがあり、ドメイン名の一覧を使って調べているのではないかと考えられることもありました)。ICP登録の番号は、決まった形式の文字列であり、またこれをテキストで掲示することが義務付けられていますから、機械的にクローリングして調査することは容易だとも考えられます。即ち、ここまでで推測できることは「番号が掲示されているかどうか」は確認しているが、「そのICP登録の番号とWebサイトの管理者が一致しているか」までは機械的には調べられていないだろうということになります。

しかし、実際には様々な場面で確認が入ることになります。例えばサーバ移設。あるホスティング会社から別のホスティング会社にサーバを移設するとき、ホスティング会社はそのサイトのICP登録の紐づくIDC情報を書き換える必要があるため、お客様との間でICP登録の内容に関する変更手続きを行います。その際、Webサイトに掲示されている番号と、工業情報化部のデータベースとを比較して「番号が違う」ということが分かることも考えられます。そもそも工業情報化部によってICP登録の番号に関する情報は、企業名からでも番号からでも調べることができます。ですから、第三者がそのWebサイトの管理者を調べるためにたまたま調べた結果、気づくというケースも考えられなくはありません。

もちろんこのようなケースが発覚した場合には、正しいICP登録の番号を持っていればすぐに修正する必要がありますし、仮にICP登録自体を行ったことがなければ申請が受理されるまでの間、Webサイトを閉鎖する必要がでできてしまいます。中国でWebサイトを開設されている場合には、今一度、自社のICP登録の番号が本当に自社のものかどうかという確認を行っていただくことをおすすめします。

中国でのスマホ向けのサイトはICP登録で良いのか

あるお客様からご質問を頂いたので、ここで簡単に解説させていただきます。ご質問の内容は、中国で企業の紹介サイト・サービス紹介サイトを立ち上げるにあたり、スマホ向けのサイトだけを作るが、これにあたってはICP登録(備案)だけで良いのか、という内容でした。即ち、PCサイトと同じ考え方で良いのかどうかという点になります。この前提として、このサイトではEC事業を行ったり、ユーザ向けに有料サービスを行うというものではないため、ICPライセンスの範囲内には入らない内容とのことです。

現時点では、中国のWebサイトに関する様々な規制の中で、具体的にスマホ向けのWebサイトについて言及しているケースは見当たらず、PC向けのWebサイトと同様に互联网信息服务管理办法や非经营性互联网信息服务备案管理办法が適用されるものであると考えられています。ポイントとしては、スマホ向けのWebサイトはPCからでも見られますし(インターネット上のサイトとしてスマホ向けに最適化されているだけ)、同様にPC向けのサイトはスマホからでも見られるという観点で、同じインターネット上のWebサイトと認識することができるという点です。これにより、中国における「非経営性」、即ち、企業の一般的な会社紹介サイトや商品紹介サイトであれば、ICP登録を適切に行うことでカバーされると考えることができます。

一方で、ネイティブアプリとして配信する場合にはどのようになるのか(ガワだけネイティブで、中身はただHTML。さらに、そのコンテンツに経営性のライセンスに影響する部分が無い場合)という点については別の論点が出てくるため、改めてご説明いたします。

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科技網とは(中国科技网)

中国におけるバックボーンネットワークの一つである科技網のポイントは以下のとおりです。

  • CSTNETとも呼ばれます。
  • ネットワークとして科技網を指す場合には、AS7497を指しています。
  • 中国科学院という、科学技術・自然科学の研究を行う政府機関(国務院直轄)が所管しています。
  • 主に科学院系の政府機関や教育機関に対するISP/IDCサービスを提供しています。
  • 科技網自体で自前のバックボーンネットワークを中国国内に持っており、2013年には北京、広州、上海、昆明、新疆など中国の13の都市を結ぶネットワークを完成しているとされます。
  • 海外向けの接続性も持っており、Pacnet(AS10026)やドイツテレコム(AS3320)経由での接続性が確認できます。

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中国電信(China Telecom)のCN2

CN2とは

中国電信(China Telecom)のバックボーンネットワークには、163またはChinaNetと呼ばれるAS4134という骨幹網(コアネットワーク)と、CN2と呼ばれ、グローバルなバックボーンとして使われているAS4809のネットワークとがあります。ここでは、CN2について簡単にご説明します。

163のネットワークは主に中国国内のバックボーンとして使われているのに対し、AS4809はNGNの位置付けとして2004年に中国国内で計画が発表され、現在は中国国外ではアメリカ、イギリス、ドイツ、韓国、日本、シンガポール、香港などにPOPがあります。東京には都内2カ所のPOPが存在しており、中国のバックボーンネットワークが日本まで張り出してきています。

中国との国際向けの接続性

中国のISPには、中国電信、中国聯通、中国移動といったキャリア以外に、科技網、教育網といった科学系機関、大学などの教育機関のネットワーク、それに地方にはそれぞれケーブルテレビ会社やFTTB専門の地域キャリアなども存在していますが、国際向けのトラフィックを交換しているISPはこのうち電信、聯通などのキャリアと、科技網などに限られます。即ち、これらのISPとの接続性を確保しないと中国国外と中国国内の接続性を得ることは出来ないというわけです。

最近は、台湾の中華電信と大陸のISPがトランジットを始めていることが確認されていますが、従来は、中国国外で、海外のISPが中国のISPと接続することができるロケーションは「香港」という選択肢に限られていました。もともと、中国で公開されている全ての国際向け帯域を中国のインターネット人口で割ると、3~4Kbps(!)にしかならないというぐらいに国際向けは細いので、中国との国際の接続性は常に難しい課題があったわけです。(もっと中国のISPが海外のISPから接続性=IPトランジットを買うということになれば別ですが、現状ではこうした方向性に転換する可能性は低いでしょう)

海外のISPが日本までネットワークを張り出してきているのは決して珍しい話ではなく、中華電信やシンガポールテレコムも日本までバックボーンの足を伸ばしてきていますし、米系キャリアや欧州系も同様です。ただ、中国系は日本のIXなどにも出てきていないため、存在が見えにくかったとも言えるでしょう。また、あまり中国国内でさえもCN2の海外POPのことは触れられることは少なく、一部、China Telecom USA (中国電信の米国法人)がWebで情報を出しているものの、入手できる公開されている情報は限られています。

東京での接続

クララオンラインは中国電信とも協力し、CN2との東京での接続サービスを提供したり、サポートをしている実績があります。実際、北京-東京間のレイテンシが130~150msec程度であるところを、CN2経由の通信にすることにより80msec台にすることができています。北京-上海間が概ね30~35msec程度であること、またCN2のネットワークの中国側の国際ゲートウェイは上海であるため、上海-東京間であればさらに小さなレイテンシで収めることができます。もっとも、中国側のアクセスラインは中国電信にすることが理想です。中国聯通の骨幹網であるAS4837とAS4809は中国内で接続されていますが、中国電信のネットワーク内で中国側は収まっている方が望ましいでしょう。一般的に中国国内で中国電信のISPサービスを契約するとAS4134の下にぶら下がるネットワークに接続することになりますが、少し高いものの、直接AS4809の下にぶら下がるネットワークに接続するISPサービス(IPMAN)も、北京・上海などの主要都市では存在しています。

中国国内の拠点からのレイテンシ等のテストについて関心がおありの方は、クララオンラインのグローバルソリューション事業部(sales@clara.ad.jp) までご連絡ください。